常念山脈(長野) 燕岳(2763.0m) 2022年5月22日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 3:00 第一駐車場−−3:10 中房温泉−−5:19 合戦小屋−−5:38 合戦ノ頭−−6:17 燕山荘−−6:41 燕岳 7:19−−7:36 燕山荘−−7:55 合戦ノ頭−−8:00 合戦小屋−−9:12 中房温泉−−9:18 第一駐車場

場所長野県安曇野市/大町市
年月日2022年5月22日 日帰り
天候雨後曇 山頂はガス、無風
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場有明荘付近の3箇所に登山者用駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
冬装備10本爪アイゼン(使用せず)、軽ピッケル(使用せず)
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント土曜は雨で日曜に回復するとの予報で燕岳に向かった。晴れてくるのは午前9時以降と思われたが、早く帰宅するため雨の中を登った。出発時から午前6時くらいまでは雨で傘を差して歩いた。それ以降は雨は上がった。既に燕山荘は営業開始しておりそれなりに駐車場は車が入っていた。残雪が連続的に登場するのは合戦小屋直下付近以降で、冬道分岐まで雪の上を歩くが雪は柔らかく危険個所も無かったためアイゼン、ピッケルは一度も使わなかった。冬道には雪は無し。燕山荘〜燕岳も雪を踏む箇所は僅かでアイゼン不要だった。午前6時くらいは燕岳にガスはかからず大天井岳も見えていたが、私が山頂に到着した頃にはガスに入ってしまい展望は楽しめなかった。花はまだ樹林帯以下でショウジョウバカマ、ミツバオウレン、イワナシ、オオカメノキ、タチツボスミレが見られた。林道脇ではマイヅルソウが咲き始めていた




雨の中、傘を差して出発 中房温泉登山相談所。まだ無人
中房温泉登山口 第二ベンチ(1842m標高点)
標高2000m付近で残雪登場 富士見ベンチ(標高2200m付近)
大天井岳方面のガスが切れてきた! 標高2350m付近
合戦小屋。雪が完全に繋がる 標高2420m付近
標高2430m付近から見た大天井岳 合戦ノ頭
合戦ノ頭から見た燕岳 標高2520m付近
標高2560m付近 標高2640mで冬道へ。ここでアイゼン脱げとの指示
冬道入口から夏道があるはずの東斜面を見る 昨日の雨はここでは雪だった様だ
冬道は燕山荘裏手に出る 燕山荘玄関口
燕山荘から見た西側の展望。雲が低い
山頂到着前にガスがかかり始めた テント場は地面は全く見えていない
稜線の登山道には雪は無い 燕岳ではイルカ岩は外せない
裏銀座方面。これが一番見えている状態 数人が登山道上で何かを見上げている
やはり雷鳥であった まだ冬毛が残る
微かに昨日の雪が溶け残っている この岩の上が燕岳山頂
燕岳山頂 燕岳から見た北燕岳
燕岳から見た槍ヶ岳〜三俣蓮華岳〜烏帽子岳方面
下山時の燕岳山頂 小屋の前の石像
大天井岳方面分岐 冬道を下る。既にガスの中
合戦ノ頭もガスの中 合戦小屋もガスの中
標高2290m付近の標識。ここで尾根は東に曲がる ショウジョウバカマ。たくさん見られた
今年初のミツバオウレン。これも多かった 登山道はつい最近刈り払ったばかり
イワナシも多かった マイヅルソウの蕾。登山道脇に多数あり
オオカメノキ まだ開花していないので種類不明
ツツジ たぶんタチツボスミレ
登山口付近で開花直後のマイヅルソウ発見 中房温泉
県道脇の開花したマイヅルソウ イチゴの仲間には違いない
下山時の第一駐車場。まだ満車ではない。車のナンバーはまさに全国区だった


 今週もまた土曜日が悪天で日曜日に回復のパターン。最近こればかりで月曜日の会社がきついのは困る。今週は山は休んでしまおうかとも思ったが、週末の登山は「ルーティーン」と化しているので登らないと気持ち悪い。日曜日の1日だけのために遠出するのは時間もガソリン代ももったいないので近場は決定事項だが、考えた結果、行先は燕岳とした。燕岳は人気の山で夏山シーズンは大混雑して駐車場確保が面倒なこと、冬ルートがしっかりしていて藪が濡れていても体が濡れる心配が無いことが大きな理由だ。

 土曜日は長野の下界でも雨が降って気温が上がらず山の上は雪になったのではと心配になる。まさかワカンが必要なほど降ってはいないだろうなぁ。ただし、燕岳は燕山荘がすでに営業しており週末は少なからず入山者がいてトレースが期待できるので、多少の積雪でもラッセルは不要だろうと判断した。

 土曜夕方に出発して雨の中を中房温泉下の登山者用駐車場へ。夏山シーズンはすぐに満車になるがこの時期でこの天気では駐車場は空きが多い。それでも20台弱の先客が駐車していてびっくり。ますますラッセルの心配がなくなった。雪よりも雨の方が心配で、いくつかの天気予報を見たが雨が止むのは午前9時以降との予報がほとんどで、下手をすると行動中はずっと雨かも知れない。まあ、ここまで来たら雨でも登るけど。夜間の車の出入りで眠りを邪魔されないよう一番奥の駐車箇所を確保して酒を飲んで寝た。夜中も強い雨が車の屋根を叩いていた。

 翌朝は2時に起床。雨は降っているが昨夜よりは弱まっている。私の場合、寒い時期はお湯を沸かして温かい朝飯を食っているが、そろそろ寒さも緩んで冷めた飯でも食える程度になったので、今回は火を使わずにそのまま「手製弁当」を食った。

 雨は降り続いているので今回は雨装備はしっかりとした。雨具は防水性能が大幅劣化した山用ゴアではなく下界用カッパとし、下界で使っている重いが丈夫な折り畳み傘も持つ。雨の中で着替えをするのは難儀なので最初から防寒着は着ずにザックの中へ。カッパを着るので寒さは大丈夫だろう。手袋は防寒防水手袋とし、ウェストポーチが濡れても大丈夫なように収容物はビニール袋に入れてからポーチの中へ。足元はロングスパッツでズボンが濡れないよう固めておく。

 最初から傘を差して出発。周囲には霧が出てLEDライトの光が散乱して前方が見えにくいが、何度も歩いた道なので迷うことはない。中房温泉で登山道へ。最初にここに来た時には登山口が分からなくて右往左往した記憶があるが、もう迷うことはない。水たまりができた登山道をジグザグに上がっていくが、ガスがかかっているので中房温泉の光もボーっと見えるだけ。当然だが頭上には星は見えない。さて何時まで雨が降り続くことやら。風が無いので傘が十分に役に立つのは有り難い。予報では稜線に出てもほぼ無風となっていた。

 車道歩きの段階で先週同様に明らかに足が重いのを感じた。大型連休のテント泊の疲労が未だに抜け切れていないのか。あの規模の歩きをした後は2週間程度は軽い山に抑えないとダメかなぁ。昔と違って齢を取って疲労の抜け方がかなり遅くなっているようだ。さて、この体調で山頂までたどり着くことができるかどうか。天気も悪いし体力だけでなく気力の面でも途中でめげてしまうかも。

 少し登って体が温まったところでカッパの上着を脱いで半袖シャツに。雨が降っているが気温はそれほど低くはないようだ。先週の爺ヶ岳が寒すぎたかなぁ。登山道は最近笹を刈ったようでまだ僅かに青さが残った笹が登山道脇に寝ていた。おかげで体に触れる藪は皆無だ。

 片手に傘だが無風なのでこれでも体やザックは全く濡れない。ザックカバーを付けていても雨の中を歩けばザックの肩紐が濡れて結局はザック本本体にも水が染み込んでくるが、傘を使えばそれが避けられるのは大きなメリットだ。私の場合はカッパを着ないで済むので体が蒸れないメリットが最も大きい。

 シラビソ樹林の中を登っていくので雨は直接当たらないが、葉に溜まって粒が大きくなった水滴が落ちてくる。少し高度を上げると霧が晴れて光がLEDライトの散乱しなくなったので前方が格段に見やすくなった。まだ周囲は真っ暗で森の中で光は他に全く無し。当たり前だがこの時刻に歩いている登山者は他には皆無だ。

 残雪が現れたのは標高2000m付近からで、最初は部分的に残ってはいるが雪の上を歩く必要はほとんど無し。しかも雪は短くてすぐに地面に戻る。気温が高いせいか雪はツルツルに締まってはおらず、踏み抜かない程度に固まっているがキックステップが効く程度の柔らかさがあり歩きやすかった。雪の上の足跡は今日歩いたようなエッジが効いた足跡があったが、おそらく昨日午後遅い時刻に登った登山者のものだろう。

 合戦小屋下で尾根が広がってから残雪が連続するようになり、明瞭なトレースを追って合戦小屋へ到着。この時刻は営業していないが、日中は営業しているような雰囲気だった。既に周囲は十分に明るくなっていた。ここから上部は夏道が隠れるくらいの残雪量になったが、トレースがしっかりしているし竹の棒に赤布を取り付けた目印が短い間隔で設置されているので非常に分かりやすい。樹林の切れ間から大天井岳方面が見えたが、標高2800m付近以上は新雪が積もったようでハイマツが白くなっていた。ただし見た感じでは積雪量は少なそうで燕岳では僅かに地面を覆う程度だろう。

 三角点のある合戦ノ頭が森林限界の境界で、この先はハイマツの中に開かれた見晴らしのいい領域に変わる。ここまで登ってやっと雨が止んできた。稜線の先には初めて燕岳が見えており山頂にガスはかかっていなかった。これなら私が到着する頃にはもっと天気が回復して展望が期待できるかな。

 この先の登山道は残雪に埋もれているが、雪質が適度なことと急斜面のトラバースのような危険個所が無かったのでアイゼン、ピッケルとも出番なし。下りでも使うことは無かった。先週の爺ヶ岳のような固い雪だったらアイゼンは必要だっただろうが・・・。

 標高2640mから先は夏道は稜線の東を巻くように付いているが、今の時期は完全に雪に埋もれて道の形跡は皆無で雪の急斜面。爺ヶ岳の柏原新道と同じで、このままこれをトラバースするの滑落の危険性が高いため、ここから尾根直の冬道に乗り移る。爺ヶ岳南尾根の冬道と同じく残雪は皆無だが、爺ヶ岳南尾根と違ってこちらの冬道は夏道と同等で体に触れる藪はほぼ皆無で非常に歩きやすい。大型連休から小屋が営業開始していて入山者が多く小屋て冬道の手入れをしているからであろう。雪が消えた道の両側には微かに新雪が残っていた。

 冬道の最後の登りが一番きつかった。小屋が見えていてもなかなか近付かない。でも雨が上がって傘が不要になったのは有り難い。このまま雨が上がってくれればいいのだが、頭上には低く暗い雲が垂れ込めたままだ。でも燕岳山頂が見えているということはいいことだ。

 登り切ってやっと燕山荘に到着。正確には小屋の裏手で西側をぐるっと回り込まないと正面には出られない。この頃には雲が低くなって小屋にガスがかかるようになり山頂が見えなくなってしまったし、テント場も霧に覆われてしまっていた。この時期はテント場は完全に雪に覆われて地面は全く見えていない。それに昨日のあの悪天でも5張もテントがあったのには驚いた。雪の上の幕営がどれだけ寒いのかは今年になって骨身にしみている。

 ガスで視界が無くなってしまったが燕岳山頂を目指すことに。ここまで来れば山頂はもうすぐだし。山荘から山頂までの間にもほとんど雪は残っておらず、相変わらずアイゼンの出番は無いままだ。山荘から先の登山道は稜線の西側を通っているので全く雪が無いのも当然か。

 燕岳と言えばイルカ岩が有名どころだが、初めてだとどこにあるのか分からなかったりする。昨年登った時には往路では気付かなかったほどだが、その時に場所を覚えたので今回は大丈夫。登山道脇に木製の標識があるのだが文字は完全に消えて役目をはたしていない。登山道と岩が最も接近した場所からではイルカに見えず、少し下った場所からが最もそれらしく見える。

 イルカ岩を通過して登りに変わると右手のハイマツの稜線から雷鳥の「グェー」という姿に似合わない鳴き声が聞こえたが姿が見えず。まだ今年は雷鳥を見ていないが今回もダメかと思ったら意外な展開に。少し先に数人の登山者が立ち止まって稜線方向を見上げているのが見えた。この状況は雷鳥がいる場合によくある光景で、よ〜く見ると大きな岩の上に雷鳥の姿が。立ち止まっている登山者の話では、私が鳴き声を聞いた雷鳥が岩の上に飛んできたようだ。岩は大きいの雷鳥の姿は小さいが、デジカメの光学望遠で大きく撮影できた。さすがに残雪期なのでまだ冬毛が残っていた。生え変わった羽根は黒っぽかったし、あの鳴き声は縄張り宣言なのでおそらく雄の雷鳥であろう。その後、雷鳥は岩の反対側に下っていき姿が見えなくなってしまったが、今年の初雷鳥に大満足。

 その後は雷鳥を発見した3人パーティーに交じって山頂へ。このうち一人は77歳の女性で非常に元気であった。単独で登ってきたとのことで、この齢で一人でアルプスに登れるとは凄いことだ。私がその年齢に達した時にまだアルプスに登る体力があるかどうか。それ以前に山を歩ける健康状態であるかが疑わしい。

 山頂近くになると花崗岩が風化した白い砂の斜面に僅かに新雪が残っていた。花崗岩の間を縫うように登り切れば燕岳山頂。残念ながら周囲はガスに覆われて展望が無いが、たまにガスが切れると低い雲に覆われた裏銀座方面の白い斜面が見えた。ごく短時間だけ双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、野口五郎岳、烏帽子岳、南沢岳の山頂が別々のタイミングで見ることができたが、槍や後立山方面はずっと雲の中で見えなかった。安曇野側は完全に真っ白で下界も志賀高原の山々の欠片も見えなかった。それでも山頂で雨に降られなかっただけマシであろう。予報ではこの時刻は雨のものもあったからなぁ。一瞬ではあったが頭上に青空が広がったこともあった。

 先週同様、今回も思ったより疲労したのでガスで展望が悪いが山頂で休憩。まだ日帰り組が山頂に到着するには早い時刻なので、山頂にやってくる登山者は少なかった。最後に8人のパーティーが上がってきたところで入れ替わるように下山開始。

 天気予報では時間経過と共に天候が回復するはずだったが、下山時の方が雲が低くてガスの中を歩く時間が長かった。写真を見る限りは少なくとも標高1850m付近まではガスがかかっていたようだ。今日はそれほど気温は低くはないので日差しが無く霧で天然ミストの中を歩く方が涼しくて心地よかった。登山口近くで薄日が差すようになると暑いくらいだった。

 今日は日曜日で土曜と比較すれば入山者は少ないのが普通だと思うが、登ってきた登山者数は30人近くいたと思う。テント泊らしき大ザックの人もいれば軽装で日帰りと思われる人も。私が駐車場に到着した時に出発していった人もいた。

 この時期はアルプスの稜線ではまだ花は見られないが、途中の樹林帯ではちらほらと花を見かけた。標高が高くまだ雪が残ったエリアではショウジョウバカマ。少し標高が落ちるとミツバオウレンが意外と咲いていた。こんな早い時期から咲いているとは初めて知った。同じくらいの標高ではイワナシが目に付いた。大きな群生は無いがあちこちに分散して咲いていて、花の総数では一番多かったかも。マイヅルソウは葉っぱはたくさん見たが咲いていたのは車道脇と登山口付近で、登山道で花を見かけるようになるのは来週以降だろう。かなり広範囲で葉っぱを見たので標高が低い場所から順次開花して長く楽しめそうだった。ちなみにマイヅルソウの葉は山芋の葉に似た形状で、地面に張り付くように葉っぱだけが出ているので意外と判別しやすい。登山口付近ではタチツボスミレと思われる紫のスミレがあった。立木ではオオカメノキ、ツツジの花が咲いていた。

 登山口の中房温泉に到着すると登山者ではなく温泉の宿泊客も見かけるようになる。駐車場に到着すると満車ではないが8割くらいは埋まっていた。この時期のこの天気でこの入りでは夏山シーズンにすぐ満車になるのは当然だろう。ちなみに駐車場はここ(第一駐車場。登山口に一番近い)だけではなく、第二、第三駐車場もあるが、夏場はそれらを含めて週末は満車になる。前夜に入らないと駐車場の確保は難しいだろう。

 着替えを済ませて軽く飯を食ってから帰路についた。

 

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